ツリー・オブ・ライフ2011/08/22 14:59

 テレンス・マリック監督の映画、
「ツリー・オブ・ライフ」を観てきました。

 いきなり、産道から
今外の光を感じるベビーの目線。
樹齢何百年の木と青空のあたたかさ、水や海の流れ。
美しい川の流れ。
そこで力つきそうな小さな恐竜、走り去る元気な恐竜も、、、
観る者を迷える者を温かく包んでくれるような
とても美しい雄大な色。
繰り返される見上げる緑の巨木と
勢いよく流れる水のうねりに圧倒された。

 「人は世俗に生きるか神の恩寵に生きるか
どちらかを選ばねばならない」
というナレーションが心に落ちる。
ほんとは私、どう生きたかったんだろう、、、、


 アメリカの高度成長初期田舎町のある家族の絆と軋轢。
自分よりもいい人生をつかんで欲しいと願い、厳しく接する父親。
努力してもうだつが上がらない父にとって
子どもはかけがえのない宝、夢。
 善人だけではだめ、力強い人間にならないとと、厳格に接する父に
懊悩し反発する長男の心の闇、、、、。
それは姿かたちを変えつつ、何代も何代も繰り返されてきた
普遍のものに
つながっているみたいな、、、、、。

 長男の子役をやっている子の内面を写す、時に暗く鋭い悩める眼が
大人になったショーン・ペンにぴったりで、
また次男の兄におびえつつ、兄を慕う、その愛らしい顔が
これまた父親役のブラッド・ピットにそっくりでビックリ。

もう一度観に行こう。
とてもお奨めの映画です。

http://www.movies.co.jp/tree-life/
(公式サイト)

私のことば探し2011/08/28 03:57

辺見庸
 私の言葉が軽く薄れている、、、、。
 
 ゆるぎない信念と内省で弱者に寄り添い、
それでいてとても骨太でふてぶてしくもある作家、
「辺見庸」の今年の近著「水の透視画法」にやっと目を通せた。

 辺見氏は宮城県石巻市出身。
子供のころ遊んだ海岸や町が流された現実に、
どんな言葉をつなぐのだろう。

 もうずいぶん前、脳梗塞で倒れ、癌も見つかり、
入院、手術を経て、リハビリ(本人は自主トレという)しつつ、
犬との一人一匹生活でどんなことばをつなぐのだろう。

 難解な言葉を使うのでボギャブラリーの少ない私には
ついていけない部分もあるけど、

”芥子粒のような物事の細部と世界規模のマクロ、
ないしは人の内面と巨大な外的現象をあえて等質的に
ていねいに表す言葉の画法があってもよいはずだ”

、、、という辺見氏の視点は、孤絶のひとだからこその
真理がある。

 辺見氏の言う「言葉の趣味」でもある、あるいは
すたれていく日本語を死語にしない使い方?から
気になった気に入った言葉を反芻し、

たとえば
「たまさか」「ゆかしい」「たまゆら」
「つとに」「さまつなこと」
「ゆくりなくも」「こころばえ」
「まなうらで」、、、等々

わたしのことば探しにつなげていきたいなと思う。
いつか、「わたしの大切なことば」を
将来を担う若い誰かの心に
残せたらな~。心に差し込むことばをみつけられたらな。

 この本「水の透視画法」は2008年から2011年に新聞等に
書いた短文76文がおさめられている。
解説は出来ない私ですが
辺見氏の己の心の底までおりて拾う
誠実で精緻なことばが重い。